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St.James Story Part 2

charlotte  picaso

St.James(セントジェームス)を代表する定番アイテムにはOUESSANT(ウエッソン)
という長袖ボーダーのバスクシャツと、もうひとつ、NAVAL(ナバル)と呼ばれる
上画像の肩抜きタイプのものがある。
NAVALとは直訳すると海軍のことで、文字通りSt.James社やORCIVAL社などが,
フランス海軍向けに生産、供給していたユニフォームである。
こんなお洒落なアイテムを水兵さんだけに独占させておくてはないと普段着に取り入れた
のが画像左のシャルロット・ゲンズブールや画像右のピカソ、他、ジェーン・バーキンや
ジャンポール・ゴルチェなど。
著名なスターやアーチスト達に愛用され、ファッションアイテムの定番としての地位を
確立したのである。

画像右、ピカソの写真はフランスの写真家、ロベール・ドアノーの作品。テーブルの上の
パンを指に置き換えた構図はピカソのアイデアらしく、何ともユニークで斬新なポーズだ。
ドアノーは古いパリの街並みの風景や、その中に生活する人々や背景を独自の視点で
とらえた興味深い作品が多く、機会があったら洋書店で一度写真集をご覧いただきたい。
画像左に写っているのはシャルロット・ゲンズブール。ゲンズブールとバーキンの娘さん。
1985年のフランス映画「なまいきシャルロット」のポスターで希少で大切にしている私物
の一つでもある。
実は何年か前に、このポスターのメトロ版(パリ地下鉄の駅構内に貼ってある身長を
越える程の大判サイズ)を探してパリじゅうを駆けずり回った事がある。
複写の普通サイズのものは日本でも手に入ったがオリジナルのメトロ版は絶版になっていて
入手が困難なことは覚悟の上で、クリニャンクールの蚤の市に始まり、パリ市内の映画専門
のポスター屋さんをくまなく探しまわった。手に入らないとなると余計に欲しくなってしまう
のが人間の心理というやつで、でもまあ、それも旅の楽しみと目的の一つでもあった。
散々探しまわったあげく、最後に立ち寄ったパッサージュ・ジュフロアのポスター屋さんで
偏屈を絵にかいたような店の主人にダメもとで尋ねると、小さめのオリジナル版を出してきた。
小さくてもオリジナルは希少なので1枚購入し、もっと大きいメトロ版はないかとさらに尋ねると
しばらく沈黙し、ないこともないよともったいぶった答えが返ってくる。
骨董屋や古道具屋によくありがちな駆け引きというやつだ。
奥の棚の引き出しから丁寧に大判ポスターを最後の1枚だと言ってそっと差出し見せてくれた。
多分、法外な値段をつけてくるだろうなと高を括っていたら、意外にも350フランだったので
即決で購入した。日本円にして約9500円なら苦労して探しまわった甲斐もあろうというものだ。
偏屈そうに見えた主人は打ち解けると、ゲンズブールのポートレートをお土産だと言って一枚
プレゼントしてくれ、店をあとにする際、笑顔で挨拶を交わしてくれたのが今でも強く印象に
残っている。

パリの街にあるパッサージュは18世紀末から19世紀にかけてセーヌ川右岸地区に造られた
ガラス屋根で覆われた歩行者専用のアーケード街で、大通りによって囲まれた街区の隙間に
抜け道のように張り巡らされ、現在パリ市内に20ヵ所程が現存していて、19世紀パリの面影を
色濃く残す空間として今でも、パリに暮らす人々や多くの観光客の人気スポットになっている。

国立図書館のすぐそばにあるパッサージュ(ギャラリー・ヴィヴィエンヌ)はルイ・マル監督の
映画「地下鉄のザジ」(1960)の中で田舎からパリの街へやってきた主人公の少女ザジが追跡劇を
繰り広げるシーンにも登場する夢のように魅惑的な空間でもあるのでパリ観光には欠かせない。

話はパッサージュに張り巡らされた横道へと逸れてしまったが、フランスには去りゆく流行とは
無縁の奥深い魅力的なものがたくさんあるような気がする。今回取り上げたNAVAL(ナバル)も
その一つだが、それはその地域に古くから根付いていて、いつの時代にも色褪せることなく
普段着として愛されているアイテムの一つなのだと思う。

次回へと続く....。

 【地下鉄のザジ】 Zazie en el metro (Louis Malle)

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